国際通貨ユーロを揺さぶるスペイン・ファクター

執筆者:黒田健哉 2002年2月号
エリア: ヨーロッパ

中南米への積極投資を続けてきたスペイン企業は、アルゼンチン危機で痛手を被った。しかし、EU議長国スペインの「中道右派モデル」は、欧州全域で支持を拡げつつある。 昨年十二月末。スペインのホセ・マリア・アスナール首相は、アルゼンチン政府の複数の首脳に電話をかけ、スペイン語でまくし立てた。「企業の法的地位に差し障りがあるような事態を受け入れることはできない。政策の逆回転は、あなたがたと我々の未来に水を差すということをお忘れなく」。 アルゼンチン危機に懸念を強めた首相は、ピケ外相を年末に急遽派遣。同国のロドリゲス暫定大統領(当時)との間で、世界のどの国よりも早く政策運営をめぐる公式会談に乗り出した。もっとも、結果的に色よい返事はもらえず、自由化・開放経済の道を歩んでいたはずのアルゼンチンは危機の深淵からの出口を見いだせずにいる。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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