鉄腕アトム 手塚治虫『ぼくはマンガ家』

執筆者:船橋洋一 2002年2月号
カテゴリ: 文化・歴史 書評

 二〇〇〇年の大晦日に放送された紅白歌合戦では本田技研工業の二足歩行ロボット、アシモが人気アイドルグループ、SMAPと共演した。ソニーも家庭用小型ペットロボットAIBOをその前の年から発売、これが大ヒットした。日本は戦後、何回ものロボットブームを経験したが、いままたロボットブームのただ中にあるようだ。 アシモは宇宙飛行士のような装いで歩く。アイボは“飼い主”の指示に対して首を傾げるように受け答えする。彼らは人間に刃向かう異形ではなく人間のパートナーとしての同類、そう、AIBO=相棒としてのイメージを投影されつつある。ソニーでは彼らを一体、二体と数える。一匹、一台、一個ではない。 そうした「相棒」としてのロボット観とロボット像の原像に手塚治虫が造形した鉄腕アトムがある。 現在第一線で活躍する日本のロボット科学者・技術者の多くは子供の頃、鉄腕アトムのファンだったと言われる。全人口に占める科学者の割合に比べてロボティックス研究者の数の割合が日本では桁外れに大きいこともその証左とされるところだ。本田で二足歩行ロボットの開発を担当したチーフエンジニア、広瀬真人が八六年七月に入社してすぐ、当時の研究所所長から「鉄腕アトムをつくれ」と言われたとの逸話はほとんど伝説化している。

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