インテリジェンス・ナウ

世論を操るスピンドクターたち

執筆者:春名幹男 2002年4月号
エリア: 北米

「私がこんなことを言うのは非常にワシントン的だとは思うけど、火曜日の一般教書演説の『悪の枢軸』は私の夫が考えたのよ。全米の注目を集めるフレーズを書くのはよくあることではないので、あらゆるところの見出しでこれが繰り返されるのを見る度に私が妻として自慢している、と思ってほしいわ」 こんな短いeメールが、1月29日のブッシュ米大統領の一般教書演説の数日後、ホワイトハウスのスピーチライターの一人、デービッド・フラム氏の妻ダニエル・クリッテンデンさんから、友人や家族に送られた。 その全文は2月5日、ウェブサイトマガジン『スレート』に掲載され、波紋を広げた。その上、2月下旬突然にフラム氏はスピーチライターを辞任。eメールのせいで解任されたのではないか、との憶測が一気に広がった。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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