ついに国連加盟へ揺れ始めたスイスの「頑なな中立」

執筆者:浅井信雄 2002年4月号
カテゴリ: 国際 文化・歴史
エリア: ヨーロッパ

 ついにスイスの国連加盟方針が3月3日の国民投票で承認された。永世中立と国連活動をどう調整するかの新しい微妙な苦悩は、スイスの国家的特性によって倍加されそうである。 周囲のドイツ、フランス、イタリアの三カ国の特性を寄せ集めたような混成国家、それがスイスである。スイスは北でドイツ、西でフランス、南でイタリアと接している。東でもオーストリア、リヒテンシュタインと短い国境を持つが、前記三カ国とは民族性から言語、文化、食生活まで圧倒的に多くを共有する。 確認された記録によれば、今日のスイス一帯にはかつてケルト系民族が住んでいたが、紀元前一世紀にローマ帝国が支配下に置き、紀元後三世紀にゲルマン民族が侵入し、五世紀には西方からブルグント族が入り込んできた。こうして周囲の三種類の特性がスイスに定着してゆく基礎ができ上がる。 米中央情報局(CIA)の2001年7月現在の推定では、スイスの総人口は七二八万三二七四人、民族状況はドイツ系六五%、フランス系一八%、イタリア系一〇%のほかロマンシュ系一%などであり、言語勢力もほぼそれに準ずる。 以上の四言語が公用語である。スイスでロマンシュ語と呼ばれる言語は、インド・ヨーロッパ語族に所属し、北部イタリアからスイスにかけて分布するレト・ロマン語のことで、フランス語とイタリア語の影響が強く、スイスでは〇・六%の住民が日常的に使っている。

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