アメリカに刃向い続けるサダム・フセインの思惑

執筆者:村上大介 2002年4月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中東 北米

「悪の枢軸」と名指され、対テロ戦争の“標的”になったイラク。日増しに緊張が高まる中で、なお強気の姿勢を崩さないフセインに、果たして「成算」はあるのか。[カイロ発]「悪くない話し合いだった」。一九九八年十二月から中断している国連大量破壊兵器査察の再開を拒否しているイラクのサブリ外相と約一年ぶりの協議を終えたアナン国連事務総長は三月七日、ニューヨークの国連本部で記者団にこう漏らした。サブリ外相も「前向きで、建設的なスタートだった」とコメントし、両者のハイレベル協議の第二ラウンドが四月中旬に開催されることになった。 米国のブッシュ政権が、アフガニスタンでの「反テロ戦勝利」の勢いに乗って、湾岸戦争以来の因縁であるイラクのフセイン政権打倒の意図をあからさまにする中、戦後十一年、したたかに生き残りに成功してきたサダム・フセイン大統領は、湾岸戦争後おそらく最大規模となる米軍の軍事行動が本当にありうるのか、その瀬踏みを行なっているところだろう。 湾岸戦争後、国連査察団とのいたちごっこを繰り返し、国際的孤立をつづけていたイラクと周辺アラブ諸国との関係が大きく変化していったのは、九八年末のイラクによる国連査察拒否とそれに対する米英軍によるイラク空爆が契機だった。当時のクリントン米政権はイラクに査察再開を受け入れさせることができなかったが、フセイン大統領が米英軍の大規模空爆を招くことを承知で強気を貫いたのは、空爆だけでは体制維持に決定的な打撃とならないとの自信に加え、九六年に導入された「石油と食糧の交換」プログラムに「制裁形骸化」への可能性を見出していたからだと指摘されている。

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