公取委の航空統合「ノー」実は「言ってみただけ」

執筆者:矢吹信 2002年5月号
エリア: 日本

 日本航空と日本エアシステムが十月に予定している経営統合計画に対し、今年三月、公正取引委員会は「ノー」の暫定判断を下した。公取委の判断は、(1)大手三社から二社体制となることで運賃がより同調的になる、(2)発着枠の制約から、そもそも新規参入が困難な市場である、(3)価格交渉の余地がない消費者に不利益となる、などの理由からだ。結局は、両社が羽田の発着枠の一部返上や新規参入会社に対する便宜を図ることなどを条件に経営統合は認められる見通しだが、霞が関が受けた衝撃は大きかった。 発表は、二つの点で異例だった。一つ目は、事前の予想が覆されたこと。国土交通省は、「統合しないと日本エアの経営危機が浮上する。公取委は計画を認める」と高をくくっていた。ところがマスコミ各社の先行報道で「統合を認めない」との判断を一方的に知らされたうえ、公取委が記者会見で統合不承認の理由を説明した内容が、「これまでの航空行政の失敗をあげつらったような内容」(政府関係者)。国土交通省が激怒したのは言うまでもない。 二つ目は、公取委が合併や経営統合の事前審査で、暫定判断を公表したのが初めてだったことだ。これまでは、非公式の事前相談を経て公取委が問題点を企業側に指摘し、企業がこれを受け入れ修正計画を提出、そして公取委が「両社から事業計画変更の申し出があり、独占禁止法上の問題が生じる恐れはなくなったので合併を認める」と公表するのが通例だった。今回はこうした慣例が破られた。

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