中国「権力闘争」のカギを握る李瑞環という男

執筆者:藤田洋毅 2002年6月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中国・台湾

「江さん自身が現場に降りてきて捜せばいいんですよ」 中国東北部のある省の党委員会中堅幹部は、江沢民総書記からの指令を現場はサボタージュしていると言い切った。江指導部が「重要思想」として声高に宣伝する「三つの代表論」に対する反発が噴出しているというのである。「三つの代表論」とは、平たく言えば、(1)生産力を発展させる原動力(2)文化の進む方向(3)最も広い範囲におよぶ人民の利益――の三つを中国共産党は代表すべきだとするもの。二〇〇〇年二月、江が口火を切った政治キャンペーンだ。さらに昨年七月一日、建党八十周年に際し、江は「七一重要演説」をぶち上げ、全党員に対し真剣に学ぶよう厳重通達した。今秋の十六回党大会で党規約に盛りこむべく宣伝を展開しているのである。 だが、抵抗が公然化してきた。私営企業家らの入党へ道を開く(3)が批判の的になっているのだ。江が、経済建設で実績を上げた人々を党内にとりこみ、共産党を労働者・無産階級の政党から国民政党に衣替えしようとしているからだ。 人民解放軍のある老将軍は苦々しげに言う。「金儲けが上手なら売春婦でも共産党員かね。お笑い種だ。江さんは、トウ小平理論の継承・発展というが、私はそんな理論など耳にしたことがない。トウ大人は、資本家の入党には一貫して反対してきたではないか」。

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