電力会社が直面する「いま、そこにある経営危機」

執筆者:五十嵐卓 2002年7月号

十社の総売上高十六兆円超――。産業界の中枢が、時代の激変に揺れている。ここに自由の原理を組み込むことは、日本の構造改革そのものに他ならない。独占の眠り覚めやらぬまま市場制度と向きあう、巨大ビジネスの実像に迫る。「自由化の進展など厳しい経営環境にあるが、連結経常利益で前年度比三・六%増の増益を確保できた」。五月二十日、東京電力が発表した二〇〇二年三月期決算は、上場製造業の経常利益の合計額が前年度に比べ半減し、最終損益合計は赤字という「戦後、日本経済が経験したことのない異常な収益環境」(証券アナリスト)の中で、相変わらずの好調ぶりをみせつけた。 トヨタ自動車は同じ〇二年三月期に連結経常利益で一兆千百三十五億円をあげ、日本企業で初めて一兆円を突破、際立った強さを示した。だが、電力業界十社(沖縄電力含む)の決算数字を合計し、ひとつの企業に見立てたバーチャルな「日本電力株式会社」の経常利益も一兆七百九十億円とトヨタとほぼ肩を並べる。国内でホンダ、日産、海外でGM、フォード、フォルクスワーゲンなどと熾烈な競争を展開したうえで高収益をあげるトヨタと、販売電力量の七〇%を依然として競争のない独占事業から得ている電力業界の儲けがほぼ拮抗しているのだ。

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