「P」にこだわったロシア外務省のメンツ

2002年7月号
カテゴリ: 国際
エリア: ロシア

 米ロ戦略核削減に関するモスクワ条約の名称は、ロシアが国民の目をごまかすために「からくり」を仕掛けたとの見方が有力だ。 条約の英語表記は「Treaty on Strategic Offensive Reductions」だが、ロシア語表記では「potential」(潜在力)に相当する一語が不自然に加えられ、略称はSNP(エス・エヌ・ペー)となった。これは、従来の戦略兵器削減条約(START)のロシア語略称SNV(エス・エヌ・ベー)と発音が酷似する。 条約は米国が削減核弾頭を廃棄せず保管することを事実上認めたため、ロシアは使用可能な核弾頭数で米国に水をあけられる。これに対してロシア国民や軍部の間に不満の声は強い。そこで「せめて名称だけは、核大国としての誇りを国民に呼び覚ますSTARTと混同するようにロシア側がこだわった」(外交筋)というのだ。ロシア外務省は再三、「条約はSTARTIIIと呼ぶべきだが、米国が反対している」とも語っていた。 条約交渉の最後の一週間は「P」の一文字が略称に入るかどうかに費やされたあげく、英語とロシア語で名称が違う奇妙な条約ができ上がったというわけだ。

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