孤立を深める「欧州最後の独裁者」

2002年8月号
カテゴリ: 国際
エリア: ヨーロッパ

「自分たちのカツレツを他国のハエに食わせることはない」 六月十一日、サンクトペテルブルクで行なわれたベラルーシ・ルカシェンコ大統領との会談後の記者会見で、ロシアのプーチン大統領はベラルーシとの今後の関係についてこう語った。「カツレツ」とは自国の経済的利益を指し、「ハエ」はルカシェンコを暗示する。経済的にロシアにすがりたいならわれわれの一部になれとベラルーシに迫ったことに対し、ルカシェンコは間髪入れず「ロシアの九十番目の自治体にはならない」と猛反発した。 プーチンの言葉にはエリツィン政権時代の一九九九年に調印された「連邦国家創設条約」の棚上げはおろか、白紙撤回も辞さないとの強い決意がみてとれた。そもそもこの連邦国家構想は、緩み切った独立国家共同体(CIS)の統合再強化の象徴を必要としたエリツィンと、ロシアとの結束を誇示し国民の人気を得たいルカシェンコの政治的打算の産物だった。冒頭の発言後もプーチンは、カナダ・カナナスキスでの主要国首脳会議(G8)前の内外記者会見などでも、ルカシェンコ政権とは一定の距離を置く姿勢を繰り返し強調している。 プーチン政権のベラルーシ離れの背景として、ルカシェンコ政権が倒れることを望む米国からの要請を受けた可能性も否定できないが、国際社会から民主的指導者と認知されたいプーチンとしては悪名高き独裁者をもはや支えることができなくなったという事情もある。

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