大見なくしてインテルなし――日本半導体製造の父(下) 大見忠弘(東北大学名誉教授)

執筆者:船木春仁 2002年9月号

 杜の都・仙台の青葉城公園に隣接する東北大学青葉山キャンパス。広大な丘に研究棟が点在する中に、今年一月に竣工したばかりの未来情報産業研究館がある。六階建て、延べ床面積六四一六平方メートル。二つあるクリーンルームは、世界のどこを探してもここにしかない、世界最先端の半導体工場である。同時に研究館の“主”である大見忠弘にとっては二〇年をかけてたどり着いた「夢の半導体づくりへの拠点」だ。 半導体(集積回路)は、シリコン結晶の表面に回路が形成される。回路線幅がミクロン(一ミクロンは一〇〇〇分の一ミリ)単位以下にまで狭まってくると、工場内に浮遊するわずかな塵が付着しただけで回路形成ができなかったり、混線してショートする原因になる。より集積度の高い、つまり回路線幅の狭い半導体を作ろうとするほど、回路設計と共に揺らぎのないクリーンな工場をいかに作るかが課題となる。 研究館のクリーンルームの“クリーン度”は、想像を超える。クリーン度を示す基準の最高レベルは「クラス1」で、一立方フィート(約二八リットル)の空気中に〇・五ミクロンのゴミが一個以下の状態をいう。しかし、研究館のクリーンルームは、クラス1の塵を九九・九九九九%除去できる。つまり一〇〇万倍の無塵化を実現している。しかも空中に浮遊するゴミだけでなく、壁材などから放出される有機物なども除去してしまう。

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