「大学を捨てよ、町へ出よう」

2002年10月号
カテゴリ: 文化・歴史

 地方の大学の教員をしている友人に「何を教えているのか」と聞いたら、真面目な顔で「読み書き」と答えた。内容は「高校一年生ぐらいのレベル」だそうだ。 講義を真剣に聴く学生はごく少数で、私語、携帯電話、居眠り、中には化粧をする女子もいるらしい。彼らは勉強したくて大学へ入ってきたわけではない。おそらくは親が世間体を気にする、とか、何となく、という程度の理由から、とりあえず入学を許されたところへ進学したということだろう。 子供の数が減り、大学は定員割れのところが増えている。応募者が定員に満たない大学を「F」ランクの大学というらしい。だれでも自由に入れるということか。 いま、日本は二人に一人が大学もしくは短大に入る時代に突入した。史上最高の高学歴社会がついに実現したが、社会の知的水準はむしろ、史上最低ではないだろうか。大学の講義のレベルも他国に比べて高いとは言えない。 何よりも、入学試験の翌日から、もう勉強しなくなり、四年もしくはそれ以上を遊んで暮らしても、何らその後の人生に悪影響がないのである。 むしろ、文部官僚がカリキュラムの細部まで口出しするようないまの大学なら、勉強しないほうが個性的で知的な人格が損なわれずにすむのかもしれない。なぜ、大学へ行くのか。いい会社へ入りたいから。なぜ、いい会社へ入りたいのか。安定したいい暮らしができるから。

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