アメリカは「神の国」か

執筆者:ルイーズ・ブランソン 2002年10月号
カテゴリ: 国際
エリア: 北米

「星条旗への宣誓」、その中のひと言が大論争を引き起こし、全米を怒りと興奮の渦に巻き込んだ。過熱する議論は、「テロ一年後のアメリカ社会」の精神状態を映し出している――。[ワシントン発]六月下旬以降、アメリカが揺れている。ある判決をきっかけに全米を怒りと興奮の渦に巻き込んだ一連の騒ぎは、ある意味で九月十一日の同時多発テロから一年たった現在のアメリカ国民の心理を如実に物語っている。 事の発端は、カリフォルニアの連邦控訴裁判所が下した「『星条旗への宣誓』を公立学校で行なうことを禁じる」という判決。長年にわたり、日々くり返されてきた儀式を違憲であると断じたのだ。問題とされたのは、「神の下(under God)」の二語。同裁判所の見解によれば、この言葉があるがゆえに宣誓は「祈り」となり、政教分離を定めた合衆国憲法修正第一条に反するという。 その直後から、まるで爆弾でも落ちたかのような騒ぎが始まった。結局、連邦控訴裁は翌日その判決の効力を停止したが、押し寄せる津波のごとき非難の声はもはや止めようもなかった。「私はアメリカ合衆国の国旗に対し、そして国旗が象徴する共和国、すなわちすべての者に自由と正義をもたらし、神の下に一体不可分である国に対して忠誠を誓う」――上下両院の議員はうち揃って国会議事堂の石段に並び、大声で「星条旗への宣誓」の全文を朗唱した。

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執筆者プロフィール
ルイーズ・ブランソン イギリス出身。英『サンデー・タイムズ』紙モスクワ支局長を経てフリーランスに。米『ワシントン・ポスト』紙元モスクワ支局長で夫のダスコ・ドーダー氏との共著に『ミハイル・ゴルバチョフ』『ミロシェビッチ――暴君のポートレイト』がある。
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