「テロとの闘い」を公然と批判する新カンタベリー大主教

執筆者:立山良司 2002年10月号
カテゴリ: 国際 文化・歴史
エリア: ヨーロッパ

「自由主義者で、時に物議をかもす主教」「その行動は予測不能」 今年七月、英国のブレア首相が次期カンタベリー大主教にウェールズ大主教のロワン・ウィリアムズ師を指名した時、英国のマスコミは同師をこう論評した。 実際、ウィリアムズ師は米国の「テロとの闘い」を公然と批判し、対イラク攻撃反対の声明も何回か出している。ウェールズ出身ということもあって、ウェールズ語や文化復興を目指す団体の名誉役員に就任し、イギリス国教会内の保守派の眉をひそめさせた。 英国教会は十六世紀、英国王ヘンリー八世が自分の離婚を認めないバチカン(ローマ・カトリック教会)から離脱したことに始まる。その後、宗教改革やプロテスタント各派の影響を受け、独自の発展を遂げた。その基本は、カトリックとプロテスタントの間に立つ中道主義(アングリカニズム)にあるといわれる。 英国教会と英国政府との関係は通常、我々が理解している政教分離の概念とはかなり違っている。英国王は英国教会の「最高統治者」と規定されており、英国教会の最高位者であるカンタベリー大主教は、首相の推薦に基づいて国王が任命する。今回の場合、ケアリー現大主教の辞意表明を受け、ブレア首相の推薦に基づきエリザベス女王がウィリアムズ師を任命した。同師は十月に第百四代カンタベリー大主教に就任し、ウェストミンスター寺院に程近いロンドンの居館、ランベス宮殿の主となる予定だ。

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