平岩外四の責任が問われるおかしさ

執筆者:喜文康隆 2002年10月号

「純粋な経済人は事実、社会的には愚者に近い」(アマルティア・セン『合理的な愚か者』)     *「東電四首脳辞任」――九月三日付の朝刊各紙は、南直哉社長、荒木浩会長、平岩外四、那須翔両相談役の四人の東電歴代社長が、原子力発電所の点検記録改竄の責任をとって辞任するというニュースを伝えた。このニュースに微妙な違和感を覚えたのは私だけだろうか。 東京電力の社長・会長を歴任し、経団連会長にまで上りつめて、約十年前に引退したはずの平岩外四。取締役ですらない八十八歳の相談役が自らの責任を口にし、マスコミはその退任を原子力担当副社長の辞任よりも大きく報じる。経営者や企業だけでなく、マスコミ、社会に至るまで、この国ではコンプライアンス(法令遵守)が理解されていないことを明かすには充分なセレモニーだった。株式会社を超えた存在 日本ハム、三井物産、東京電力と企業経営をめぐるスキャンダルが続いている。米国でもエンロン、ワールドコムなど大企業の粉飾決算をめぐる犯罪が相次いだ。両国で同じ時期に起きた不祥事を、株式会社制度における行き過ぎた競争と経営者の倫理観の欠如という観点から、同列に論じようという空気もある。

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