[台北発]降って湧いたような出来事が実は必然の産物――六月上旬に台湾全土を揺るがせた「林毅夫騒動」は、まさにそんな一件だった。騒動の主となった林毅夫は台湾省宜蘭県出身、最前線の金門島で軍役に服していた二十三年前に対岸の福建省に逃亡、現在は北京大学中国経済研究センター主任で、朱鎔基首相のブレーンの一人とも伝えられている。その林毅夫が、父親の葬儀参列を理由に台湾への帰郷を申請したところ、陳水扁政権は人道的見地から受け入れを表明。結局は、台湾軍部が逃亡責任の追及を主張したため、林本人に代わって同じく台湾出身の妻が帰郷し、騒動の幕が下りた。
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