湾岸諸国に逆流する「反米マネー」

2002年10月号
エリア: 中東

[ドバイ発]ペルシャ湾岸のアラブ富裕層を中心にイスラム教徒が抱える資金が、米市場から流出している。米企業の会計不信や米株安の影響もあるが、米同時多発テロ事件の後遺症やイスラエルとパレスチナ人の衝突激化といった政治情勢が大きな要因として無視できない。イランでは外貨準備を「ドルからユーロにシフトするべきだ」との主張も中央銀行内部で浮上している。 パキスタンが核実験に成功した九八年、欧米のメディアは、ヒンズー主義の中から生まれたインドの核に対し、イスラム教国パキスタンの核を「イスラムの核」と名づけた。イスラム世界は国ごとに多様だが、パレスチナなど一定の問題では強力な結束を示すように連帯感が強い。米国内でのイスラム教徒への差別、パレスチナ衝突拡大、「秒読み」とも言われるイラク攻撃……。イスラム世界の各地でくすぶる反米感情がドル資産離れという形で、マネーの逆流を生み出しているのだ。 英フィナンシャルタイムズ紙は八月、サウジアラビアの対米投資資金のうち一千億から二千億ドルが欧州などに流出していると報じた。同時テロ後、中東資金への監視を強める米当局の動きを受け、資産運用の“安全性”に懸念が広がったという。

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