ドイツ それでも生き続ける「ドイツ型資本主義」

執筆者:戸川秀人 2002年11月号
エリア: ヨーロッパ

九月末、経営不振の続くドレスナー銀行から一人の若い銀行家が去った。彼の目指した「アングロ・サクソン流経営」が、組織内の反発を招いたのである。背後には、グローバル資本主義の波に晒されても変わらないドイツ経済界の実状がある。[デュッセルドルフ発]ドイツ金融界の名門ドレスナー銀行が投資銀行部門トップの辞任を発表したのは、九月二十六日の午前だった。レオンハルト・フィッシャー氏、三十九歳。この一人のドイツ人銀行家が歩んだ軌跡をたどると、不振にあえぐドイツ経済の苦悩の奥深い病根が浮かび上がってくる。 ドイツの有力銀行本店が集中するフランクフルトは、この日あいにくの空模様。真っ暗な寒空から大粒の雨が降り注ぎ、記者会見場に馳せ参じた記者団はズボンの裾を濡らして機嫌が悪い。突然の役員交代と一層の人員リストラという苦しい発表文を読み上げるドレスナーの経営陣も、おのずと表情が硬くなる。 辞任したフィッシャー氏は米国で経済学を修め、米投資銀行JPモルガンで経験を積んだドイツの新世代の銀行家だ。一九九五年にドレスナーに移った後、最年少の役員に抜擢されたのは三十五歳のときだった。日本食とフランスの赤ワインを愛好し、精力的に仕事をこなすドイツ金融界の「若手のホープ」である。

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