バリ島観光地で大惨劇「爆弾テロ」の次なる標的は?

竹田いさみ
執筆者:竹田いさみ 2002年11月号
カテゴリ: 国際

 十月十二日深夜、インドネシア・バリ島で発生した爆弾テロ事件には、三つの際立った特徴がある。そして、そのいずれもが、テロ組織「ジェマー・イスラミア(イスラム共同体、以下JI)」による極めて組織的な犯行の可能性が高いことを示している。 第一に、高性能の大型爆発物を使用していること。死者約二百人、重軽傷者約三百人の大惨事を引き起こすほどの高性能爆発物を使用できるグループは限られている。JIは高性能武器の調達や運用に精通している数少ないテロ集団であり、二〇〇〇年にはスラウェシ島付近で大量の米国製M16自動小銃を隠し持っていることが発覚、工作員が逮捕されたこともある。 第二に、同時多発的なテロであること。ほぼ同時刻に三地区で四つの爆弾が爆発している。バリ島クタ地区のディスコで事件が発生する直前に、近くの別のディスコでも小型の爆弾が炸裂している。ほぼ同時刻にはアメリカ名誉領事館付近で爆弾が破裂、さらにその数時間前にはスラウェシ島のフィリピン領事館付近で爆弾テロ事件が起きている。インドネシアの治安組織がスラウェシ島でのテロ事件に関する情報収集をしている間に、バリ島での大規模テロ事件が起こったわけである。こうした広域でのテロ活動をこの地域で展開できるのは、地域ネットワークをもつJI以外にない。

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執筆者プロフィール
竹田いさみ
竹田いさみ 獨協大学外国語学部教授。1952年生れ。上智大学大学院国際関係論専攻修了。シドニー大学・ロンドン大学留学。Ph.D.(国際政治史)取得。著書に『移民・難民・援助の政治学』(勁草書房、アジア・太平洋賞受賞)、『物語 オーストラリアの歴史』(中公新書)、『国際テロネットワーク』(講談社現代新書)、『世界史をつくった海賊』(ちくま新書)、『世界を動かす海賊』(ちくま新書)など。
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