NTTドコモが海外から撤退する日

2002年11月号

 NTTドコモは十月二日、二〇〇二年九月中間決算で海外出資先の株価下落による評価損を理由に五千七百三十億円の特別損失を計上すると発表した。二〇〇二年三月期の評価損と合わせると、欧米アジアの携帯電話会社五社に出資した総額一兆九千億円のうち八割に当たる約一兆五千億円が失われた計算になる。立川敬二社長は「第三世代携帯電話(3G)事業の免許料が高騰したのに加え、その後の米国の景気低迷が追い打ちをかけた」と強弁するが、海外戦略の失敗はもはや明らかだ。 かつてドコモの世界進出は日本のIT戦略の象徴のように称賛された。しかし、いまやそのメッキもはがれ、ドコモ首脳陣は撤退の道を本気で探り始めている。 九月中旬、ドコモが出資するオランダのKPNモバイルの幹部が東京・永田町のドコモ本社を訪れ、「欧州最大の市場であるドイツでの通信ネットワークにまだ不備がある。株主資本を補強してほしい。そうでないと親会社のKPNが増資を引き受け、御社の出資比率は低下しますよ」と迫った。ドコモが保有する株式は一五%。二〇〇〇年に四千億円を投じて取得したものだが、今回求めた追加出資額は約二千五百億円という。 ドコモがKPNモバイルに出資した当初の目的は三つ。(1)当時規格争いが紛糾していた3G携帯でドコモ方式を採用させる、(2)iモードを導入させる、(3)KPNモバイルの上場によってキャピタルゲインを得る。つまり、「iモードの導入で出資先の企業価値を上げ、リターンを得る」(立川社長)という基本戦略だった。

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