株価報道という「虚構」

2002年12月号

新聞を読んでもテレビを見ても、株価報道は紋切り型のオンパレードで、マーケットの真実を反映しているとは言い難い。証券会社の都合で流される情報を勉強不足のメディアが鵜呑みにし、「ウソ」がまかり通る構造が温存されているからだ。「景気の先行きに対する不透明感から幅広い銘柄に売り注文が出され、日経平均株価はバブル崩壊後の最安値を更新」――。株式市場に関して連日繰り返される報道は、いつでもどこでも紋切り型のオンパレードだ。いったいなぜなのかと疑問をもたれた読者も居られることだろう。 答えは、新聞、テレビなど多くのメディアが、同一の情報源に頼りっきりになっているから。定期的に異動を繰り返す記者たちの側に、自らの都合に従って流される証券会社の情報の信憑性を検証する知識はほとんどない。しかも、十年一日のごとく繰り返される「解説」は、ここ数年で激変したマーケット構造などお構いなしだ。結果的に株価報道は「ウソ」が垂れ流されやすい構造になっている。日興のレクチャーが「通説」に 毎日午前十時と午後二時の二回、日興コーディアル証券は記者を集めて「レクチャー」を開く。会場は、記者クラブのある東京証券取引所の裏口を出て、道路ひとつ隔てた日興証券別館。三十人ほど収容できる会議室風の大部屋に記者たちがぞろぞろ入ってくると、ほどなくエクイティ・マーケティング部兼商品本部部長の西広市氏が入室、日経平均株価や主要百二十銘柄を一覧できる株価ボードを前に座り、マイクを握る。「演題」は前日の欧米市場や当日の東京市場の動きだ。有効な経済政策を実行できない政府に怒りを示してみせるなど、記者がかぎかっこ付きで引用できるようなフレーズも忘れない。記者たちはセルフサービスのコーヒーを飲みながらペンを走らせる。株価が急騰すれば今年三番目の上げ幅だとか、下げれば十八年ぶりの低水準だとか、ニュースに欠かせない細かなデータはA4サイズの資料としてちゃんと用意されている。

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