退陣まで1年を切ったマハティールの気がかり

執筆者:浅井信雄 2002年12月号
カテゴリ: 国際 文化・歴史 金融

「対テロ戦争は反イスラム十字軍に発展してゆく」とマハティール・マレーシア首相は直感したそうだ。さる九月、ニューヨークの国連総会に出席途上の首相が、経由地のロサンゼルスで露骨な入国検査を受けた瞬間である。 九・一一事件の翌日、つまり昨年九月十二日、マレーシアにいた私は事件へのこの国のあまりに直接的な連鎖反応を知った。首都クアラルンプールの超高層ビル、ペトロナス・ツイン・タワーの爆弾騒ぎで数千人が避難、北部ペナン島のビルでも爆弾騒ぎである。どちらのビルにも欧米系企業が入っている。 マレーシアの主要な民族と宗教は、政治的には多数派のマレー系とイスラムであり、経済的には中国系である。全般的な国民心理は欧米への懐疑心であり、米国との間に冷めた空気が流れている。とくに一九八一年から政権を握るマハティール首相の一種のアジア主義によってその傾向が加速されてきた。 東南アジア各地に分布するマレー系人口はインドネシアに次いでマレーシアに多い。米国中央情報局(CIA)の二〇〇二年七月現在の推定では、マレーシアの総人口は二二六六万二三六五人で、民族的内訳はマレー系五八%、中国系二四%、インド系八%、その他一〇%であり、この比率は過去数年変わらない。

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