饗宴外交の舞台裏 (59)

ブッシュ家の牧場で江沢民が食べたテキサス料理

執筆者:西川恵 2002年12月号
エリア: 北米 アジア

 中国の江沢民国家主席が十月二十五日、米テキサス州クロフォードにあるブッシュ大統領の私邸兼牧場を訪問した。 ブッシュ大統領の牧場に招かれた外国首脳は数少ない。これまでブレア英首相、サウジアラビアのアブドラ皇太子(第一副首相)など数人だ。ブッシュ、江両首脳の会談は三回目だが、米大統領が敢えて親密さを醸し出す私邸兼牧場を選んだのも、中国共産党大会(十一月八日開幕)を機に、第一線を退く同主席の労をねぎらう気持を込めようとしたからだった。ただ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核開発問題の急浮上で、“お別れ会談”という儀礼を超えた関心を集めることになった。

カテゴリ:
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top