ブッシュが見極める「経済・再選・戦争」の力学

会田弘継
執筆者:会田弘継 2003年1月号
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス
エリア: 北米

対イラク戦争の準備は整ったが、ブッシュ政権の発言は微妙にトーンダウンしている。スタッフの入れ替えで経済のテコ入れを図るも、先行きは不安定。大統領再選戦略を睨めば、戦争開始は半年から一年以上遅れる可能性もある。[ワシントン発]十二月六日朝、米労働省が発表した十一月の失業率は、十月を一気に〇・三ポイントも上回り六・〇%に達した。ブッシュ大統領の就任時の失業率は四・二%だったから、以来百五十万人前後が職を失った計算になる。 その発表のころ、オニール財務長官は「人生にはもっと大切な、やるべきことがある」と憤然と捨てぜりふを残し、古巣ペンシルベニア州ピッツバーグ郊外の自宅に向かっていた。ブッシュ政権の経済運営の要にいたオニール財務長官、リンゼー大統領補佐官(経済担当)の更迭がフライシャー大統領報道官によって正式に発表されたのは同じ日の午後。オニール長官がワシントンを離れてから約五時間後だった。 それからさらに数時間後、米国の各メディアは一斉に、世界第二位の航空会社ユナイテッドが連邦破産法十一条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請することが確実になったと報じた。事実上の倒産である。 失業率の大幅な悪化、財務長官らの更迭、巨大航空会社の破綻。同じ日に表に出た三つの出来事は、世界の政治・経済の中心ワシントンで、直ちに三つの密接につながる問いに置き換えられた。米国経済は大丈夫か。ブッシュ大統領の再選戦略は。そして、いったい対イラク戦は始められるのだろうか。

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執筆者プロフィール
会田弘継
会田弘継 青山学院大学地球社会共生学部教授、共同通信客員論説委員。1951年生れ。東京外国語大学英米科卒。共同通信ジュネーブ支局長、ワシントン支局長、論説委員長などを歴任。2015年4月より現職。著書に本誌連載をまとめた『追跡・アメリカの思想家たち』(新潮選書)、『戦争を始めるのは誰か』(講談社現代新書)、訳書にフランシス・フクヤマ『アメリカの終わり』(講談社)などがある。
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