金正日は軍を掌握しているか

執筆者:草壁五郎 2003年2月号
カテゴリ: 国際
エリア: 朝鮮半島

父親から権力を引き継いで以来、金正日は軍を最優先する「先軍政治」を続けてきた。軍人を厚遇し肩書きを大盤振舞いしたことも手伝って、「将軍様の軍」ができあがった。しかし、必ずしも盤石と言い切れない兆候も随所にある。[ソウル発]一昨年五月三日、金正日総書記は平壌市内の百花園迎賓館で欧州連合(EU)議長国スウェーデンのペーション首相らEU首脳との昼食会に出席、ワインで乾杯を行ない、北朝鮮の「全方位外交」の成果を誇示した。同じ頃、日本では、金総書記の長男、金正男氏とみられる人物が、成田空港で偽造旅券を使って入国しようとして入管当局に身柄を拘束されたことが明らかになっていた。 翌四日の各マスコミは金総書記がEU首脳に対してミサイル発射の留保を二〇〇三年まで延長すると言明したことや、金正男氏拘束を大きく報じた。しかし、在日朝鮮人や情報関係者の一部はEU首脳との乾杯の写真に深い関心を寄せていた。なぜなら、金総書記がワイングラスを持つ右手のジャンパーの袖の下に白い包帯のようなものが写っていたからだ。 その写真が注目されたのには伏線があった。金総書記は二〇〇一年二月十四日に平安北道の亀城工作機械工場を視察(現地指導)して以来、中国の曾慶紅党中央組織部長と三月二十二日に会見するまで三十五日間、公の場に姿を見せなかった。一カ月以上公式活動に姿を現さないことは過去にも何度かあったが、金総書記の誕生日の二月十六日から故金日成主席の誕生日である四月十五日までは公式行事が集中しており、この時期に姿を見せなかったのは明らかに異常であった。

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