【ブックハンティング】 ブッシュ戦時内閣に足りないもの

執筆者:ダスコ・ドーダー 2003年2月号
カテゴリ: 国際 書評
エリア: 北米

 機密情報が投げ込まれる「郵便受け」――それがボブ・ウッドワードだ。この米国一有名な敏腕ジャーナリストは、キャリアの大半を通じてその役割を果たしてきた。ニクソン大統領の“政敵”がウッドワードらに機密情報を与えて「ウォーターゲート事件」が発覚し、大統領が辞任に追い込まれたことは今も記憶に残る。 だが時代は変わった。彼の新著『Bush at War』に「ディープスロート(機密情報源)」はいないし、そもそもこれはワシントン政治の暗部を深く抉った作品でもない。 ブッシュ政権の全面的な協力を得たウッドワードは、国家安全保障会議の議事録を含む機密文書をリアルタイムで入手するなど、あらゆる内部情報に接してこの本をまとめた。機密漏洩を過剰なまでに恐れるブッシュや、かねてから機密を漏らせば刑務所行きだと公言していたアシュクロフト司法長官にしては異例の扱いといえる。このため、まるでアフガニスタンでの戦争をめぐる政権内部の激論の「公式記録」を読んでいるようでさえある。そう、その意味では、ブッシュ政権がいかに思考し、機能しているかを正確に知ることのできる貴重な記録である。 まず大統領自身が二時間を超えるインタビューに応じている。さらに、パウエル国務長官、ライス大統領補佐官、チェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官、ウルフォウィッツ国防副長官、テネットCIA(中央情報局)長官、アーミテージ国務副長官ら安全保障の責任者たちが、それを上回る長時間取材に協力している。

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