インテリジェンス・ナウ
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密かに検討される金正日体制の「レジーム・チェンジ」

春名幹男
執筆者:春名幹男 2003年3月号
カテゴリ: 国際
エリア: 朝鮮半島

 ブッシュ米政権による「レジーム・チェンジ」(政権交代)は、イラクのフセイン政権だけを対象にした政策ではないようだ。 実は、米政府は北朝鮮に対して、幾度となく政権転覆の可能性を検討してきた。一九九四年の「核危機」の際、クリントン政権は一時北朝鮮との全面戦争さえ覚悟した。九八年のテポドン発射実験後の「ミサイル危機」の時にも、一つの選択肢として金正日政権の打倒を検討した。当時大統領特使だったウィリアム・ペリー元国防長官は最近ニューヨーク・タイムズ紙への寄稿記事で「北朝鮮国内に反体制派が存在する証拠はほとんどなく、十分な時間もなかった。同盟諸国もこのオプションを支持しないだろう」との理由で断念した、と明らかにしている。 それでは、今度の新たな核危機ではどうするのか。週刊誌ニューヨーカー一月二十七日号で、「ブッシュとチェイニーは皿に載せたあいつ(金正日総書記)の首を望んでいる」というくだりを読んでぎょっとさせられた。 すっぱ抜きで有名な元ニューヨーク・タイムズ紙記者セイモア・ハーシュ氏が米政府情報当局者の話として紹介しているのだが、あながち冗談と無視できる話ではなさそうだ。ブッシュ大統領はワシントン・ポスト紙のボブ・ウッドワード記者とのインタビューで、「私は金正日が(蛇蠍のごとく)嫌いだ。私はこいつにははらわたが煮えくり返る。自分の国民を飢えさせているのだから」と憤懣やる方ない仕草をしながら述べたという。大統領は、表向き「(北朝鮮の問題は)外交で平和的に解決する」と平静を装ってはいるが、本音では相当な嫌悪感を抱いているのだ。

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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