インテリジェンス・ナウ

密かに検討される金正日体制の「レジーム・チェンジ」

執筆者:春名幹男 2003年3月号
タグ: CIA 北朝鮮
エリア: アジア

 ブッシュ米政権による「レジーム・チェンジ」(政権交代)は、イラクのフセイン政権だけを対象にした政策ではないようだ。 実は、米政府は北朝鮮に対して、幾度となく政権転覆の可能性を検討してきた。一九九四年の「核危機」の際、クリントン政権は一時北朝鮮との全面戦争さえ覚悟した。九八年のテポドン発射実験後の「ミサイル危機」の時にも、一つの選択肢として金正日政権の打倒を検討した。当時大統領特使だったウィリアム・ペリー元国防長官は最近ニューヨーク・タイムズ紙への寄稿記事で「北朝鮮国内に反体制派が存在する証拠はほとんどなく、十分な時間もなかった。同盟諸国もこのオプションを支持しないだろう」との理由で断念した、と明らかにしている。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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