短期決着なら変わらないアメリカ「一極支配」

執筆者:伊奈久喜 2003年4月号
カテゴリ: 国際
エリア: ヨーロッパ 北米

迷走する国連安保理、広がりつつある「反戦」の動き――。混沌とするイラク情勢を読み解くための「三つのキーワード」を提示する。 国際原子力機関(IAEA)事務局長時代のハンス・ブリクス氏が采配したウィーンでの会議に何度か参加した。いまも変わらぬさわやかな弁舌、時間を超過した議論にもじっと耐える。ただし自分たちの組織批判に聞こえる発言には冷たく反応する。 真骨頂はバランス感覚である。国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)委員長としての三月七日の安全保障理事会への報告もそうだった。イラクは非協力的だが、協力の兆しもある、と八方に気を遣う。相変わらずの玉虫色報告こそ、あの時の有能な国際官僚の面目躍如だった。 スウェーデン外相も務めたベテラン国際外交官にとって重要なのは、国連の権威であり、貶める動きがあれば本能的に防衛に動く。米英が新たな安保理決議なしに軍事行動を始める事態は、まさしくそれに当たる。 ブリクス氏の立場は、最大株主の意向を無視しにくい企業の役員に似ている。経営者としての意見はあるが、最大株主を無視すれば資本と経営の対立で企業は針路を見失う。しかも安保理の現実は、いわば有力株主の間に深刻な意見対立があった。

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