饗宴外交の舞台裏 (63)

ケベックとカタルーニャの交流がもたらすもの

執筆者:西川恵 2003年4月号
エリア: ヨーロッパ 北米

 国と国の外交関係とは別に、いま異なる国の地方同士が中央政府を介さずに直接関係を結ぶケースが増えている。地方の発言力の増大と、地方同士の連携は、中央政府を足元から揺さぶり、長期的にその統治基盤を掘り崩している。 スペイン・カタルーニャ自治州政府のアルトゥール・マス首相ら州政府代表団が二月中旬、カナダのケベック州を公式訪問した。両州は一九九六年に協力協定に調印して以来、経済、文化、社会の各分野で交流を深めてきた。二月十七日夜、ケベック州政府のベルナール・ランドリー首相主催の歓迎晩餐会がケベック市の州議会内で、その名も「議会議員」というレストランで開かれた。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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