一九七一年、北朝鮮留学中に地元の女性リ・ヨンヒュイと恋に落ちたベトナム人ファム・ニョク・カン。体制の壁に阻まれながらも、三十年の文通で愛を育み、二人はついに結婚した。カンがヨンヒュイの北朝鮮出国を可能にするまでの軌跡を、前号に続きレポートする。[ハノイ発]カンの元にヨンヒュイからの手紙が届くのは年に一度か二度。いつも何の前触れもなく便りは届いた。ベトナム語で書かれた封筒の中には、学習帳の一ページに記された朝鮮語。書いてあるのは、お天気など当たり障りのないことばかりだった。しかし、カンにとっては、それこそがヨンヒュイの思いを表すラブレターだった。
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