ブッシュ減税に放たれた2本の批判の矢

2003年4月号
エリア: 北米

[ワシントン発]共和党右派とブッシュ政権はグリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が議会に登場するのを警戒していたのだろう。上院予算委員会は例年なら一月下旬に、財政について同議長の意見を聞く公聴会を開催する。今年も一月二十日前後に内々に予定されていたが、結局、見送りになってしまった。 実はこの直前、ブッシュ大統領とグリーンスパン議長は昼食を共にし、意見交換をしている。議長の真意を知った共和党と政権は、「今度は議長の賛同を得られない」と判断したに違いない。二年前の公聴会では、議長が当時のブッシュ新大統領の減税構想を支持、ブッシュ減税の成立へ向けた議会審議に弾みをつけたが、反対ならばおいで頂くには及ばない、ということらしい。「財政赤字はまさに問題なのです」「減税を実施したいなら、歳出を歳入の範囲に抑制するという、いわゆる『ぺイ・アズ・ユー・ゴー・ルール』を適用すべきです」 二月十一日、年二回の金融政策に関する上院銀行委員会での定例証言。久々にキャピトルヒル(米議会議事堂)に姿を見せたグリーンスパン議長はこう語り、ブッシュ大統領が提案した向こう十年間で六千七百億ドルに上る巨額の減税構想を強く批判したと受け取られた。大型減税の結果、二〇〇三、二〇〇四年度の財政赤字は三千億ドルを超し、過去最大を記録すると見積もられている。議長が問題視したのは、まさにその赤字だった。辞任したハバード前米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長らは「財政赤字はほとんど長期金利に影響を与えない」と理論武装していたが、発言力の大きいグリーンスパン議長の懸念表明の前では説得力を失ってしまった。

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