地球を「恐怖」が駆けめぐる

 北朝鮮の金正日労働党総書記が得意とする瀬戸際外交が、今回は効果を挙げていない。核開発を公然と認め、ミサイルを発射しても、イラク攻撃の準備に熱中する米国が一向に対話に乗ってこないからだ。 ブッシュ大統領扮する警官がイラクのフセイン大統領の体を徹底的に調べるわきで、金総書記が服を脱ぎながら、「わたしも調べてくれ」と警官に懇願する風刺漫画も米紙に載った。米政府には相手にされなくても、ジョークの世界では、金総書記は次第に国際的な存在感を持ってきたようだ。 パウエル国務長官がブッシュ大統領に報告した。「よいニュースと悪いニュースがあります。よいニュースは、査察団が遂に、核開発の決定的証拠を発見しました」

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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