アラブ新興メディアという統治不能な「戦争の鬼子」

2003年5月号
カテゴリ: IT・メディア 国際
エリア: 中東

[ドーハ発]「イラクの国旗に記された文字『アッラーフ・アクバル(アラーは偉大なり)』は米国の占領後、キリスト教の『ゴッド・プロテクト・アス(神よ、われらを守りたまえ)』に変えられる」。開戦前からアラブ世界では、こんなジョークがはやっていた。 ブッシュ米大統領はイラクを中東民主化のモデル国家とする意向だが、米国の言う「民主化」は地域にとって「米国支配の脅威」にほかならない。アラブ紙のベテラン記者は「中東地域の民主化が遅れていることは分かっている。耐えられないのは、それを米国から押しつけられることだ」と話す。 フセイン大統領の「聖戦」参加への呼びかけに応えて周辺国からイラク入りした義勇兵には帰国の動きも出始めた。「敗北感と喪失感」はアラブ社会全体に広がる。首都や南部バスラでは政権崩壊で騒乱が広がった。「イラク人の誇りと愛国心はどこへ行ったのか」とイラク市民の一人が憤慨する。 アラブ人が見ている光景は、一九六七年の第三次中東戦争のアナロジーかもしれない。ナセル主義の興奮にひたったアラブ民衆は、イスラエル軍の前にわずか六日間で敗北するという現実に打ちひしがれた。あっさり首都が攻略された現実に、アラブ民衆は落胆するとともに怒りの矛先をふがいないイラク人に向ける。イラク人が星条旗を片手に「サンキュー、ブッシュ」と叫ぶ姿に、あるサウジアラビア人は「驚愕した」という。

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