インテリジェンス・ナウ

「なぜ北京で?」波紋を広げる北朝鮮ナンバー2の入院

執筆者:春名幹男 2003年5月号
エリア: アジア

 イラク戦争後、北朝鮮はどう出るか。「米軍の圧倒的なハイテク軍事力に驚嘆しておとなしくなるのではないか」とみるのは素人で、多くの専門家は全く反対に、北朝鮮は核兵器開発に一層邁進する、と予測している。 ブッシュ米政権がイラクを攻撃したのは、「イラクが核兵器を持っていないからだ」と北朝鮮は考えるはずだ、と在京国際情報筋はみる。 そんな微妙な時期に金正日総書記の側近の一人で軍部のナンバー2である趙明禄人民軍総政治局長が突然、北京の病院に長期入院したことが波紋を広げている。趙総局長が北朝鮮を出国したのは三月十八日、米英軍のイラク攻撃開始の前々日とされている。北朝鮮にとっても重要な意味を持つ戦争を前にした軍トップの外国への入院は異常と言わざるを得ない。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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