【インタビュー】ウィリアム・シードマン(米整理信託公社初代総裁) 日本の経済再生には大胆な実行あるのみだ

執筆者:岡田浩之 2003年5月号
エリア: 日本

不良債権処理がようやく動き始めた――もはや打つ手なしと言われ、悲観論に満ちた日本経済は再建できるのか。不良債権問題の第一人者が日本の再生を語る。――金融システム、銀行システムについての専門家、そして不良債権処理の実務経験者として、日本の経済にさまざまな提言や苦言を呈してこられました。これまでの厳しい見方を踏まえ、現状をどう評価しますか?シードマン 日本からアドバイスを求められるようになって、もう十年が経ちます。来日ももうずいぶんな回数になりますが、今回はこの十年間で初めて、日本経済に前向きな兆候が見えますね。 その兆候は二つあって、ひとつは日本経済の民間セクターが銀行に対する投資に乗り出したことです。東京三菱銀行は公共セクターに依存しない増資をすでに完了し、みずほグループも同様に巨額増資に取り組んでいます。ゴールドマン・サックスやメリルリンチといった米系の金融企業も、日本の大手銀行に対して十億ドル単位の出資を始めました。必要不可欠だった増資に銀行が乗り出したことは、現状から脱しようとする動きがようやく真剣なものになってきた現象として、私は期待をしています。 もうひとつ、日本の金融システムについて心強く感じるのは、新しいIRC(産業再生機構)の発足が国会で本決まりになりつつあることです。以前から私は、不良債権を銀行から切り離すことよりも、経営危機に陥っている貸出先企業のリストラクチャリングこそが日本の最優先課題だと主張してきました。これ抜きでは、金融システムの再建も、日本経済の回復もおぼつかないからです。もちろん、このリストラクチャリングを実行するには、幅広い分野の専門家からなる集団が必要です。すでにある日本版RTC(=整理回収機構)は銀行からの債権買い取りと買い取った債権の処理を担当しているのに対して、新たに発足するIRCは貸出先企業のリストラクチャリング専門の機関です。

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