創業者が死んで暗雲立ちこめるフランス「国策メディア企業」

2003年5月号
カテゴリ: IT・メディア 国際
エリア: ヨーロッパ

 来る人あれば去る人あり。プロジーベン売却合意三日前の三月十四日、欧州メディア業界の巨人が一人、この世を去った。ジャンリュック・ラガルデール氏、七十五歳。フランスの防衛・出版大手ラガルデール・グループを一代で巨大企業に育て上げた創業者にして、CEO(最高経営責任者)だった人物である。 ラガルデール・グループはミサイルメーカー「マトラ」から出発、現在も欧州最大の航空・防衛企業「EADS」に一五%出資しているが、同時にフランス最大の出版部門を抱えるメディア企業でもある。出版部門のアシェット・グループには、『エル』『パリ・マッチ』『マリ・クレール』など世界的な雑誌の他、「ファイヤール」「グラッセ」「ラルース」など著名な書籍ブランドも数多くある。昨年には経営難のビベンディ・ユニバーサルから出版部門を買い取っており、フランス国内での一般書籍のシェアは実に四割超。ほとんど独禁法違反スレスレ、というより実際に欧州委員会からは問題視されているが、「アングロサクソンに対しフランスの文化的独立を守る」と公言しシラク大統領とも昵懇の仲だったジャンリュック氏の存在が免罪符になっていた。いわば、メディアのグローバル化に抗する「フランス代表の国策企業」になることで巨大化してきたのがラガルデール・グループだったと言える。

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