イラク戦後に描くべき日米同盟の「戦略関係」

執筆者:船橋洋一 2003年6月号
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 北米 日本

イラク戦争を巡る国際関係が、米国中心の同盟というシステムを揺るがしている。米国と同盟国との間に横たわるギャップにどう対処すべきか。いまこそ安全保障の基軸を見据え、戦略的な深みを湛えた対話を開始する時だ。 小泉純一郎首相のばくちは当たった。 イラク戦争ではつんのめったような対米支援を打ち出した首相だったが、気がつけば晴れて「勝ち組」入りである。ワシントンの考課表では、日本は、英国、オーストラリア、スペインの次あたりの席次につけている。第一次世界大戦以来、日本が労せずしてこのような上位の「勝ち組」に座を占めたことはなかった。 イラク戦争は、国連相手にせず、NATO(北大西洋条約機構)頼むに足らず、「有志連合」というこの指とまれの米一国主義戦争であり、先制攻撃と体制転換を組み込んだブッシュ・ドクトリンのデビューだった。このような戦争も、このような戦後も、欧州にとっては、そして国際システムにとっても、理念的にも実践的にも未消化のままである。そして、何よりも戦争だけでなく平和にも勝利しなければならない。日本が「勝ち組」に入ったと言い切るにはまだ早すぎる。 日米両政府は、イラク戦争における日本の揺るぎない対米支援によって日米同盟はさらに堅固になったと喧伝している。安倍晋三官房副長官は、日米関係は「ペリー来航百五十周年で、おそらく現在、もっとも良好な関係と言えるかもしれない」と喝破した。

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