SARSが浮き彫りにした「対中ビジネスの死角」

2003年6月号
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス
エリア: 中国・台湾

中国を襲ったSARSへの対策は日本の危機管理そのものだ。部材の供給源から消費者の信用まで、見えなかったリスクが見えてきた。 日本経済の中国に対する依存度は、年々高まる一方だ。二〇〇二年度の貿易統計速報(通関ベース)によると、日本の輸入相手国の第一位には、これまでのアメリカに代わって中国が躍り出た。輸入額全体では三%増の約四十三兆円だったが、中国からの輸入は一一%増の約七兆九千六百億円。事務用機器や音響機器が伸びており、日本向け製品を中国で生産している日系企業が急増していることをうかがわせる。 いや、日系企業だけではない。米デルコンピュータは、日本で販売するパソコンをすべて福建省の工場で生産、厦門空港から直接、航空貨物で日本に輸出する態勢を整えている。世界最大の小売業米ウォルマートも、環太平洋市場向けの最重要生産拠点として中国を選び出した。ウォルマートの取り扱う商品は、同社が出資する大手スーパー西友の商品として日本の店頭に並ぶことになる。 いまや「世界の工場」中国は、日本企業にとって「海外」ではない。あらゆる産業が部材調達の足場を築いた、日本経済の「体の一部」だというべきだろう。そこに、新型肺炎SARS(重症急性呼吸器症候群)というショックが拡大したのである。

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