航空業界支援に動けない米政府の「原理」と「台所」

2003年6月号
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス
エリア: 北米

[ワシントン発]同時多発テロの後遺症、安売り競争、イラク戦争の余波、新型肺炎「SARS(重症急性呼吸器症候群)」と、“四面楚歌”で断末魔の叫びをあげる米航空業界。破綻危機は最大手、アメリカン航空の持ち株会社、AMRも襲い、同社では大幅な賃下げによる自力再建か破綻申請かをめぐり労使が混乱、最高経営責任者(CEO)辞任にまで発展した。 AMRの迷走飛行の裏には、来秋の大統領再選戦略も絡み、表看板の市場原理の貫徹と個別業界救済との相克に揺れるブッシュ政権の苦悩ぶりも滲んだ。「世界航空史上最大の倒産か」とAMR破綻危機が高まった三月下旬、ホワイトハウスでは航空業界支援をテーマに激論が交わされた。 対イラク開戦を受け、カード首席補佐官とミネタ運輸長官は「深刻な危機を座視できない」と主張。特に現大統領の父、ブッシュ元大統領の政権で運輸長官を務めた経験もあるカード補佐官は、伝統的に共和党と近いAMRに破綻が迫ったことに危機感を抱いたのか、緊急融資保証による資金注入など大規模な政府支援に踏み切るよう熱心に説いた。 これに対して貨物鉄道大手、CSXのCEO出身のスノー財務長官やダニエルズ行政管理予算局(OMB)局長らは、戦時対応として一定限度の支援策の必要性は認めるものの、伝統的な共和党の「小さな政府」の考えから「競争力を失った航空会社まで国が丸抱え救済すべきではない」と反対。

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