米朝が固唾をのんで見つめる男 中国の新外相・李肇星

執筆者:上村幸治 2003年6月号
カテゴリ: 国際

 興奮するとつばを撒き散らしながら大声で叫ぶ。一方、うれしいと歯をむきだして笑う。中国の新しい外相、李肇星氏(六二)には、そうした、ちょっと野卑ともいえるところがある。山東省の貧農の家に生まれた李氏は、いまどこかの農村の畦道でタバコをふかしていても、それはそれで良い雰囲気の絵ができるかもしれない。 中国の外相は、周恩来に始まり、それぞれが冷静で優雅、そして狡猾だった。前任の唐家センも、その前の銭其シンも、穏やかな笑顔の裏で何を考えているのかよくわからない、そういう雰囲気があった。 これまでの外相はそろって、上海やその周辺で生まれ育った人物である。気候の穏やかなこの商業地域には、そつのない人が多く、史上有名な官吏が輩出している。実際、現在の中国外務省でも同地域出身者は大きな勢力を形成している。 そういう意味では、北京大出身の李肇星氏は、少数派ともいえる。ただし、夫人の秦暁梅氏の父は元外交官の秦力真氏(元領事局長)。秦氏は、かつて劉少奇元国家主席の秘書を務めていた人物であり、李肇星氏は、強力な閨閥に支えられているのである。 もちろん、それだけで外相にのぼりつめることができるほど、中国の官僚社会は甘くはない。李肇星氏の場合は、文才が省内で高く評価され、運が開けたと言われている。李氏自身、若い頃は文学青年で、本当は「作家か記者か詩人になりたい」と思っていた。

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