「資産劣化」が進む日本のバランスシート

執筆者:岡崎一浩 2003年7月号

右肩上がりの経済なら「損」は時間が解決してくれる。だが、病んで久しい日本には「損」を抉り出すしか術はない。 りそな銀行への公的資金注入は、なぜ日本企業にとってショッキングなのか。国民の血税がまた浪費される? 確かにそれは重要な論点だ。だが本当の論点は、いま注ぎ込まれる資金にあるのではない。これまでりそなの財務を底上げしてきた繰り延べ税金資産に象徴される、日本企業のバランスシートの不確かさが問題なのだ。そのいまだ見えていない巨大な穴に、これから飲み込まれるであろう巨額の資金が、日本経済の未来を揺さぶっている。 富士通――四・二五% NEC――〇・〇九% 東芝――二・九一% これは二〇〇二年三月期末の決算報告書をもとに、筆者が計算した三社の自己資本比率(負債に対する経営の独立性を示す)である。と言っても、少々細工が施してあるので、各企業の財務担当者諸氏は、「会計基準に準拠した計算ではない」などと目くじらを立てないでほしい。会計基準に則して弾けば、日本式を採用している富士通で一〇%台半ば、米国式のNECと東芝でも一〇%近辺の数字を毎年記録する。 ここでの計算方式は、繰り延べ税金資産をゼロ査定し、かつ企業年金の積み立て不足を反映させている。富士通の年金会計については、ほかの二社との統一をとるために、米国基準にして計算し直した。そうした計算上での自己資本比率なのだ。

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