西の果てモロッコで「アラブ人」として生きるベルベル民族

執筆者:浅井信雄 2003年7月号
カテゴリ: 国際 文化・歴史
エリア: アフリカ

 大西洋岸のモロッコはアラブ世界の最西端に位置し、アラビア語の国名は「西の王国」を意味する。地中海世界にも属して西欧と接触を重ね、アラブの国としては珍しくユダヤ系住民を差別していない。イラク戦争やパレスチナ紛争の火の粉も飛んでこない平穏なこの国を、さる五月、大規模テロが襲った。 紀元前一万五〇〇〇年の旧石器時代の住居や同三〇〇〇年の農牧畜の痕跡が確認でき、同一一〇〇年頃フェニキア人の交易基地も沿岸にあった。その後、北アフリカの先住者とされるベルベル民族の王国のほか、ローマ帝国、ゲルマン系バンダル王国、ビザンチン帝国などさまざまな外部勢力の支配を受けた。 七世紀以降に浸透したイスラム・アラブは、ベルベル民族とともに、西欧列強の進出を克服して、今日まで支配勢力の地位にある。アラブとベルベルという二民族の接触と混交の過程が、モロッコ住民の特殊な民族性を形成した。 二〇〇二年七月の米国CIA(中央情報局)の推定で、総人口三一一六万七七八三人、民族別ではアラブ・ベルベル系九九・一%、その他〇・七%、ユダヤ系〇・二%。宗教別ではイスラム教(ほぼスンニー派)九八・七%、キリスト教一・一%、ユダヤ教〇・二%である。

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