【[検証]アメリカンスタンダード 1】 「運輸安全保障」が空前絶後の情報帝国を作る

執筆者:田村秀男 2003年7月号
エリア: 北米

「コンテナ・セキュリティー・イニシアチブ」など、アメリカの運輸情報把握への動きは、とどまることなく進んでいる。日本の関心はコスト面にばかり向いているが……。 日本人は経済社会の「アメリカン・スタンダード」に一喜一憂してきた。入試科目のようなもので、好きでも嫌いでも取り組まなければ前に進めない。形だけだろうとアメリカの教科書の片言でも覚えないとビジネスに支障が出る。当のアメリカ人は、相手がいいと思って導入するのだと鷹揚に構えてきた。「自由」を重んじ、政府の介入が少ないほど経済は活性化すると信じてきた。ところが、「9.11」を機に、アメリカは「自由」の定義を見直した。安全保障こそが優先され、「自由」は監視されるべきだ。他国はアメリカのシステム、考え方に準じるか従うべきで、そうでない国とはつきあわない――。いつの間にかアメリカン・スタンダードには安全保障という大きな背骨が入ったのである。この変化は、世界に、日本に、どのような衝撃を与えるのか。「9.11で世界が変わった」というのは正確ではない。「アメリカ人にとって」と前置きすべきだろう。航空機や船で全世界のどこからでもテロリストがやってくるかも知れないし、炭疽菌や小型核爆弾などの大量破壊兵器が持ち込まれる可能性もある。ウォール街で運用される世界の富の一部は、テロリストを養い訓練するための資金かもしれない。アメリカ本土を取り巻く残りの全世界が恐怖の対象と化した。

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