リシュモンの巨額のれん代償却が映し出すブランド企業の苦悩

2003年7月号
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス
エリア: ヨーロッパ

「カルティエ」「モンブラン」「ヴァンクリーフ&アーペル」などの高級ブランドを傘下に持つブランド企業リシュモンが、二〇〇三年三月通期決算で三十四億ユーロ(約四千七百億円)という巨額の“のれん代”償却に踏み切った。のれん代とは買収や合併した企業の買収価格と実際の資産価格との差額を指す。通常は一定期間をかけて償却していくが、それを二〇〇一年までさかのぼったうえで、一気に吐き出したのである。 リシュモンの異例とも思える決定は、買収したブランドが実際の資産以上に「高い買い物」であったことの証だ。償却の対象になった主なブランドは、「マニュファクテュール・オルロジェール」(時計)や「ランセル」(皮革、鞄)など。いずれも一九九〇年代の終わりから二〇〇〇年にかけ、ブランド企業の買収ブーム真っ盛りの時に取得した企業である。 のれん代の償却と併せてリシュモンは、業績が振るわない傘下の「アルフレッド・ダンヒル」「ランセル」のリストラも断行した。三月期にはリストラ費用として九千百万ユーロ(約百二十億円)を計上。特にランセルの場合、米国から撤退してアジアとフランスに集中し、直営店二十五店と販売拠点二百カ所を閉めるという荒療治に出た。この結果、ランセルの営業利益は前年同期に比べ半減の二億六千万ユーロに落ち込んだ。

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