ウイルス検査に最先端の技術を持ちながらSARS用の製品開発が遅れる現実。製薬業界はリスクを嫌い、有効な治療薬を探すことにも消極的だった。産官学連携の欠如と人材育成を怠ってきたツケを、どう解決していくか――。 新型肺炎SARS(重症急性呼吸器症候群)の感染拡大の勢いは衰えたが、このまま病気が消えてなくなると考える専門家は少ない。冬に猛威を振るうインフルエンザと同じように、SARSもまた、今秋にも再流行するかもしれない。「日本は大丈夫」と安心するのはまだ早い。それどころか、大騒ぎしたわりに国内の治療薬や検査薬開発、患者発生を想定した対応策はおぼつかない。備えは決して十分とはいえないのが実情だ。
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