海洋国家オマーン ホルムズ海峡に臨む親米アラブの現実

執筆者:浅井信雄 2003年8月号
カテゴリ: 国際 文化・歴史
エリア: 中東

 初めて米軍に国土を使用させたアラブ国家は、オマーンである。異教徒、とくにキリスト教徒の軍隊がイスラムの土地を踏むことに、敏感に反発するアラブ世界では異例である。 オマーンはアラビア半島の南東端に位置し、アラブ世界の反米潮流からはずれている。イスラムの聖地を持つサウジアラビアと最も長い国境で接するが、サウジ側の「虚無の地」と呼ばれる広大な砂漠によって実質的な隔絶状態にある。 他方、北のペルシャ湾から時計回りでオマーン湾、アラビア海、そして広くインド洋へと開かれている。船で外部世界と交流を重ね、九世紀にオマーン人が広東に到達、それが船乗りシンドバッドの物語のヒントになったといわれる。こうした海洋国家としての歴史が、オマーンの住民構成にも反映されている。 米国中央情報局(CIA)の二〇〇二年七月現在の推定では、総人口二七一万三四六二人、民族別ではアラブ、バルーチ、パキスタン、インド、バングラデシュ、スリランカ、アフリカ系などだ。人口比は示されていないが、アラブ系が圧倒的に多く、イラン系も存在する。要するに、アラブ系以外は南西アジア系とアフリカ系といってよい。 古い地理用語のオマーンは、今日のオマーンのほぼ北半分とアラブ首長国連邦にあたる地域を指し、現在のイラン、アフガニスタン、インド亜大陸にわたる文化圏に属していたのだ。

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