カトリック国家ポーランドがたどる自由化と世俗化

執筆者:立山良司 2003年8月号
カテゴリ: 国際 文化・歴史
エリア: ヨーロッパ

 ポーランドにおいて、カトリックは単なる宗教ではない。民族を定義するものだ――。国民の九五%がカトリック信者のポーランドでは、カトリックが国民統合の基盤を提供し続けてきた。一九八〇年代初頭から東欧で最も先行した自由化運動を国民レベルで支えたのもカトリック教会だった。EU(ヨーロッパ連合)への加盟の可否を決める国民投票も六月八日の日曜日だったため、「ミサから投票所へ」という教会の呼びかけが奏功し高率の加盟支持となった。だが自由が実現された今、教会の強い発言力が改めて問われていることも事実だ。 ポーランドが公式にカトリックを受け入れたのは十世紀までさかのぼる。ただ、カトリック教会が国家や国民意識の守護者的な役割を果たし始めたのは十八世紀末以降のことだった。三回にわたるポーランド分割やナチス支配など苦難の歴史の中で、教会は民族の統一と解放のシンボルとなったのである。

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