時代に取り残される「米国の労働組合」

2003年8月号
エリア: 北米

医療費負担、年金の積み立て不足など、米産業界にブルーカラー問題ともいうべき重しがのしかかる。新たな労使関係の構築が必要だが……。[ニューヨーク発]米国の労働組合はこの夏、そろって労働条件の更改交渉に臨む。労使が一九九〇年代の終わりに結んだ契約は、情報技術(IT)バブルに代表されるように米経済も絶頂期にあったため、企業は労組の賃上げ、医療費負担要求などを飲んでも右肩上がりの業績がコストを吸収できた。しかし、それはもはや過去の夢物語。労組にとってこの夏は、浮かれはしゃいだ宴が終わって二日酔いのまま迎えた翌朝のように、重く、つらいものになりそうだ。 六月十九日、米ゼネラル・エレクトリック(GE)と労組が労働条件の更改で合意した。合意の中身は時間給労働者の賃金を今後四年間で一六・五%増とする代わりに、従業員は医療費総額の一八%を負担するというもの。賃上げを勝ち取ったとはいえ、三十四年ぶりのストまでして反発した医療費の自己負担は、当初提示された三〇%負担は押し戻したものの結局一八%で飲まざるを得なかった。「ストによってGE側は越えてはならぬ一線を理解したはずだ」――。GE全従業員の五%強が加入する米電機・通信労組(IUE/CWA)のエドワード・ファイヤ委員長はこう強がるが、平均的な時間給労働者にとって医療費負担は週四ドル増加する。労組はこの賃上げを手放しでは喜べない。

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