東南アジア、中東も睨む? トヨタの広州進出

執筆者:五味康平 2003年8月号
タグ: 中国 日本
エリア: アジア

 トヨタ自動車の広州(広東省)進出計画が中国の自動車マーケットに大きな衝撃を与えている。トヨタと広州汽車が合弁会社を設立、二〇〇五年をメドに「カムリ」など中型セダンの生産に乗り出す計画。トヨタは昨年十月に天津汽車との合弁で小型車「ヴィオス」の生産を始めたのと前後して、天津汽車を傘下に収めた中国最大の自動車メーカー、第一汽車と包括提携し、「クラウン」級の大型車の合弁生産も計画している。あまりの矢継ぎ早の攻勢が他の外資や日本メーカーの警戒心をかき立てている。 中でも強い衝撃を受けているのは広州汽車と合弁で「アコード」、「オデッセイ」を生産、小型車「フィット」の生産準備を進めているホンダだ。ホンダは華南の中心・広東省をしっかり押さえることで、「華北のトヨタ、華東のフォルクスワーゲン、GMと対抗していく方針」(関係者)といわれていたが、トヨタの広州進出でこのもくろみが崩れるからだ。ホンダが育成してきた広州周辺の部品メーカーを、後から進出してきたトヨタに易々と活用されてしまうという不利もある。

カテゴリ: 経済・ビジネス
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top