人民元切り上げを迫るアメリカの本音

執筆者:ブルース・ストークス 2003年9月号
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス
エリア: 中国・台湾 北米

産業界からの要請を受けて、ブッシュ政権が中国への圧力を強める気配がある。だが、逆効果の恐れもある人民元切り上げを、アメリカはどこまで本気で求めるのか。[ワシントン発]中国・人民元の為替レートが不当に低く抑えられていると考えるアメリカの産業界は、ブッシュ政権と米議会に対する政治的圧力を高めつつある。過去三年間に製造業におけるアメリカ人の職が二百七十万人分も失われ、対中貿易赤字が急速に膨らむなかで、再び為替論争を始めようとしているのだ。一九八〇年代に円相場をめぐって日本に圧力をかけたのと同じように。 アメリカのエコノミストの多くは、人民元の対ドル相場が低すぎるという産業界の不満は単なる保護主義的考えだと受け流し、人民元の切り上げはアメリカにとって裏目に出る可能性があると警告する。しかし、どうやらホワイトハウスは産業界からの圧力に屈しつつあるようだ。遠からず中国に対してブッシュ政権は、人民元の変動幅を拡大するよう、より明確に迫ることになるだろう。 現在一ドルは約八・二八元。九四年に中国が為替レートを実質的に固定して以来、この水準が保たれている。中国政府は、海外からの投資が凄まじい勢いで流れ込み、輸出が激増して人民元への上げ圧力が高まっても、このレートを維持してきた。その結果、人民元は実際の価値よりも一五%も低く抑えられていると、ゴールドマン・サックス社は試算。三〇%低いと見るエコノミストもいる。

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